新型コロナによる打撃が著しい音楽業界。音楽の存在価値が問われる中、オンラインによって突破口を切り開く人がいます。
今回は、MOSHでオンラインでの音楽レッスン「OK Music Workout」を始めた音楽プロデューサーの大島こうすけさんに、インタビューを行いました。
MAN WITH A MISSION、May J.、SPYAIR、嵐、B’z、松本孝弘、T.M.Revolution、倖田來未など、名だたる著名なアーティストの作曲・編曲・プロデュースをしてきた大島さんが、今、一般公開で特別オンラインレッスンを始めた真意に迫ります!
MOSHをやろうと思ったきっかけ
Q: まず最初に簡単なご経歴とMOSHを始めた経緯を教えてください。
20代にWANDSでデビューして、その頃から音楽プロデューサーを目指そうと思っていました。自らがバンドメンバーになるような所謂アーティスト活動を主にしていた時期もありましたが、表に出るより後ろで支える音楽家としての方が自分の力が発揮できそう、と思い、30代からはいろんなアーティストを育てることに専念し、音楽プロデューサーの仕事や、アーティストに提供するための作曲・編曲などをしています。
オンラインレッスンの開催を考え始めたきっかけは、ひとことで言うと…近年エンタメ界の中でも音楽の創り方や発信の仕方に、かなり自由度が広がってきたこと、が大きな理由の一つです。
これまでの音楽業界の王道の座組としては、アーティストはレコードメーカーや所属事務所を通して音楽プロデューサーを選択し、起用するのが通例でした。楽曲が完成したら、レコードメーカーや所属事務所が主軸となってMV製作やプロモーション展開をする…という構図です。
ですが、ここ数年でインディーズでもメジャー級に活躍するアーティストが多く出てきたこともあり(リスナーの皆さんでもなんとなくお気付きの通り)最近ではアーティストは前述の座組に拘らずに音楽創りができる・しても良い・自由に選べる時代になりました。
例えば、SNSやYouTubeを上手く駆使すればローコストで効果的なプロモーションになる世の中になりましたしね。
それには、曲作りそのものが、いまや自室・机上で完成させる事ができるくらいPC・ソフト・機材類が進化した、という背景があります。
コスパの良いツールも沢山出てきているし、自室でまとめればスタジオ代などの予算もかからないですから、むしろそういったアーティストやミュージシャン(以後、総称してクリエイターと呼びます)がかなり増えてきています。
ですがその反面、彼らは、経験豊富な人たちと共に創る生の制作現場というものを体験せずにどんどん世の中へと出ていくことになります。
個人レベルでの曲作りは殆ど誰とも接触することがありませんから、自身が作った楽曲について誰からも指摘やアドバイス、ましてや感想すらも聞ける機会を失ってしまっている。実際一人での曲作りには、アイディアやスキル向上などに必ず限界がやってきてしまうんですよね。
要するに、才能があっても必ず頭打ちになってしまうと思うんです。今僕が若手クリエイターだったとしたら、いきなり直接プロデューサーとは契約できないし、自分のイメージする音楽はあっても、それをどうやって沢山の人に聞いてもらえる楽曲にするのかが分からない。
それは、クリエイターとして長くやっていくための知識や経験が少なく、必要とされる楽曲を作る力、つまり再現性がないから。実は、そこがまだ若手のクリエイターを引き上げる手段として追いついてない環境だと思うんです。
だから、その環境を求めている人は多いんじゃないかなと思ってオンラインレッスンを始めようと思いました。素人さんから、既に音楽を仕事にしている人まで、どんなステップにいる方でも気軽に訪問できて、一人一人に応じた具体的なアドバイス・率直な感想・スキルアップの糸口…等々が提供できるといいなと考えていて、そんなタイミングでMOSHさんを見つけたんですね。
Q: 大島さんご自身でMOSHを見つけてくださったんですか?
そうです。もともと仲のいい後輩が、ギターのオンラインレッスンをやってるのをTwitterで見つけまして。彼が何かやっていたなと思ってTwitterから飛んで見つけたのが始まりです。
もっとポップじゃなきゃいけないし、もっとマニアックじゃなきゃいけない
Q: アーティストやミュージシャン(=クリエイター)の”再現性”についてもう少し詳しくお伺いできますか?
世の中で必要とされるモノや売れてるモノって、パッと見では分からないけど、実は矛盾する条件を兼ね備えることに拘り抜かれた商品だと思うんです。例えば女性が履くストッキングってより薄い方が足が綺麗に見えますが、反面、より破れにくくなければいけない。
自動車にしてもそう、燃費は良くなければいけない、だけどパワーがなければいけない。iPhoneも同じで、より多機能でなければいけないけど、よりスマートでスタイリッシュでなければいけない。その矛盾点の共存にトライし続けているのがプロフェッショナル。
僕らの作る音楽で言えば、めちゃくちゃポップであること、そして、めちゃくちゃ個性的であること、という矛盾。 個性的=聴いたこともないような曲でなければいけない。だけど、例えばそれがワケの分からない音階を多用したら、聴いたことはない曲にはなるけれど、聴きたい音楽にはならない。
逆に、これまでも何度も聴いてきたような耳馴染みのある曲は、ポップではあるけれど、個性的ではない。その両側面を考えられてなければ、殊にJ-POP界の飽和するほどアーティストや楽曲が溢れている中で、人の耳は魅き着けられないんですよね。
もしくは、ポップでありつつも、実はマニアック、という矛盾の場合もあります。例えば…あえてアーティスト名は避けておきますが(苦笑)、最近トレンドの、多ジャンルを盛り込んだシティポップ系のアーティストたちは、マニアックなのにポップで聴きやすい!という矛盾点をクリアしてきていると思います。
そこを追求していくために、個性を最大限に濃くしていく、そして余計なものを削ぎ落としていくことで、そのアーティストらしさを再現していけるようになります。
Q: アーティストにお会いされた時に、この人の個性はここだな、という当たりをつけていくわけですね。
そうですね。シンプルに言ってしまうと、変なトコロを探す仕事なんですよね(笑)。変なトコロをプロデューサーサイドで覚えておいて、そこが毎回出てくるようであれば、個性として武器にしてしまおうと。 でもそれを武器にしようと思うと、他の部分での力学的調整が必要なんですよ。建造物と同じですよね。
例えば真四角なものを建てようとすると力学的にはすごく簡単。でも二階が突き出てて、一階が小さい建物を建てようとすると、一階部分の補強が大変になってしまいます。二階の飛び出てる部分が個性だとすると、それを表現するにはすごく補強がいるんです。
音楽でいえば、アーティスト毎のそれぞれのロジックで建造物=楽曲を作り上げていく。そのロジックをもとに制作しないと再現できないんです。
Q: とても難しい仕事ですね。アーティストの個性をキャッチしつつ、世の中が求めている形みたいなものもインプットしないといけない。そこの落とし所を見つける必要があると。
そうです。例えばビジュアルでいうと、名刺・タバコ・CD…どんな物にも大衆が使い易い”黄金比”ってあるじゃないですか。そういう黄金比的なものが音楽でもあると思うんです。
ハッキリ目で確認できるような「16:9」みたいな伝え方はできないですけれども、平均律(音の配列ドレミファソラシド)という黄金比を活用して耳に入ってきやすい曲を作っていく。コンビニで買い物をしている時に、ふと店内BGMで流れてきた音楽が気になって意識が逸れるのも、そういう意図的な仕組みによるものなのかと。
初心者の方からプロの方まで、誰でも気軽に参加してほしい
Q: オンラインレッスンはどういう人に来て欲しいとかありますか?
どんな方でも歓迎ですよ!アマチュアで音楽活動をしている方、すでに音楽を生業とされている方、まだ一度も音楽を作ったことがない方も訪問してくれています。生徒さんの目的も、趣味から収益化まで、様々です。
実際の有料レッスンの前に、無料カウンセリングで受講目的や悩みなどを事前に伺っていますので、もし不安がありましたらそこでお気兼ねなく色々聞いてください!
Q: 多分ページを見た時に、恐れ多くて申し込みボタンを押せない人がたくさんいそうだな、と思いまして(笑)
一応現役のアーティストとしてもやらせてもらっているので(笑)、 オンラインとは言え一対一が緊張する方もいらっしゃるのかも知れませんし、プロを目指している方の中で、自分はまだまだレッスンを受けるに至る段階ではないという意味で恐れ多いと感じる方もいらっしゃるみたいなんですが、是非そういったことは一旦すべて忘れて訪問してみて欲しいです。
それと…外見が一見すると怖いってよく言われるんですけど、中身は全然怖くないですから!(笑)一度話すとそれが解ってもらえて、すぐに慣れてくれる方も多いですよ。(笑) いろんな人に受けてもらいたいですね。僕もまだ始めたばかりでチャレンジしているところですし、ぜひ気負わずに楽しんでいただけたら僕も嬉しいです!
Q: 始められる方に、最低限これぐらいの準備・知識があるといいよというのはありますか。
音楽的知識としては特にありません!ただ、使用する音楽ソフトや機材については、ウェブ検索や曲作り用の機材を扱う楽器屋さんで無料で得られる情報ですし、使用し易いものは個々で違ったりもするので、有料レッスンでお教えするのに時間を使うのはかなり勿体無いかな、と思います。であれば、ウェブや周りの詳しい方から情報を得た上でレッスンで相談してくれるのが有効だと思います。
Q: オンラインレッスンとリアルレッスンとの違いってありますか?
コロナ渦なので対面よりオンライン、という観点でタイミングよく始めることができたオンラインレッスンではありますが、生徒さんや教える内容によっては、やはり直接会ってコミュニケーションを図りつつ進めた方が効率は良いかも知れません。
あとは、もし対面でしたら、例えば生徒さんにいつも使っているPCをこちらに持ち込んでいただいて、僕は僕で自分の機材を操作しながら説明する、というシンプルな形で済みますが、オンラインですと今のところ、僕の音楽ソフトのPC画面と鍵盤(キーボード)を弾く手元を、生徒さんが画面越しに確認しなければならなかったりするので、ディテールが掴みづらいのでは?というデメリットが生じているかも知れません。
逆にオンラインのメリットとしては、忙しい方でも移動や時間帯を気にせずに受講できたり、遠方に住む方も気軽にレッスンを受けてもらい易いですよね。地方在住でも活動するアーティストやミュージシャンも増えていますし、そこはかなり大きいメリットです。
また、自宅の使用PCがノートパソコン型ではなく持ち運びできない方にもオンラインは便利かと思います。あ、僕の見た目が怖くて対面式だと緊張してしまいそうな方もオンラインを選ばれているかも知れません!(笑)
状況を鑑みつつ、今後は臨機応変に選べるようにできたら良いなと思っています。
Q: 現在提供されているレッスンは単発のものだと思いますが、今後はパッケージのように半年から一年間といった単位でのレッスンも考えていますか。
僕も初トライの音楽レッスン開講でしたし、生徒さん側の感触も参考にしたいので試行錯誤しながらになっていますが、今まさにレッスンコースの多様化やパッケージ単位のレッスンなどブラッシュアップを考えているんですよね。
Q: 作曲の仕方を教えるのって1対1がいいんでしょうか。多くの方に共通して伝えていく形もあり得ますか?
ブラッシュアップを検討している中で、超初心者の方むけのワークショップや、生徒さん同士でも情報交換できるようなオンラインサロンを画策し始めているところなので、いずれそういったグループレッスンに近い形で受講体験していただけるようになるかと思います。
ただ、多人数でのレッスンではどうしても個々にアドバイスできる内容や量に制限が出てしまうので、個性や主体性を尊重すべきレッスン内容の性質上、やはり個人レッスンがオススメではありますね。
もちろん両方参加していただけたら、より楽しく、吸収率も高くなるんじゃないでしょうか。 ちなみに、単純に個人レッスンに抵抗がある方はお友達を誘ってオリジナルの少人数グループレッスンを希望していただいてもOKですよ。
Q: YouTubeとかTikTokとか、個人がいろんなものを発信できるようになったおかげで、いざ発信を始めて少しバズったけどその後がどうしたら良いか分からないという方は結構いると思うんですよね。SNS上に表現力の高いポテンシャルある若者がたくさんいる中で、専門性・再現性という言葉から伝えていかないといけないですよね。
すごくいい曲を作ったとして、「そういう曲をもう一曲作れる?」と尋ねると、どうやって作ったんだっけ、ということになってしまいがち。 あるいはすごくいいパーティーチューンの曲を作ったとして、「そんなにいい曲作れるなら今度はバラードで良い曲を聴きたい」と言われると首を傾げてしまうかもしれない。
もしパーティーチューンの曲の再現性が持てたとしても、それしか作れないと飽きられちゃう。リスナーは似たような曲だけじゃなくて、いろんな角度の違うノリの曲を期待してしまう。 でも共通して言えるのは、この耳と脳が快楽を感じるものを作れば、嫌なものにはまずならないですよね。 それに応えられるポテンシャルを広げるお手伝いができたらベストだと思います。
今後、MOSHでやりたいこと
Q: 今後大島さんとしてやっていきたいこととか、こういう形で音楽業界に貢献していきたいな、などありますか。
今後OK Music Workoutで沢山優秀なクリエイターが育ってくれたら、たとえば生徒さんの作品を集めてコンピレーションアルバム化したり、まずはウェブでデビューしていってもらうなど出来たらいいなと。
既存の音楽学校ではこれまでして来なかったことをやりたいなと思っています。
音楽の専門学校には僕も昔入っていたことがありましたが、一般的な学校や教室では音楽理論や音楽ツールは教えくれるんですが、実践は教えてくれないことが多いと思うんです。ヒットを作る、つまり聴く人を感動させる曲にさせるのは、ある意味心理学に近いんじゃないかと思うんですよね。
心理学と音楽を結びつける授業をやっているところって多分存在しないんじゃないかと思います。それって、音楽理論やツールよりもむしろずっと肝心だったりするんですけれどね。
そして、僕の場合、少なくとも現場に即したことを伝えられると思っています。 レッスン開講はビジネスというより、これから音楽を表現する「人」たちを育てたいなと。今まで楽曲は沢山作ってきましたが、後続の音楽人を育てるというということはあまりできなかったなと思っています。
作品も残したいけど人も残せたらいいなと思います。 なので、隠れたところにいる逸材にOK Music Workoutを知ってもらうことがこれからやるべきことですね!将来的にはOK Music Workoutの中から、いろんなアーティストが輩出されたり、作曲家やプロデューサーが育っていってくれたら…というのが夢ですね。
Q: とてもいいですね!プロ・アマ関係なくチャンスが掴める今の時代だからこそ、この機会を生かして、いろんな方に大島さんのレッスンを受けてもらいながら、たくさんの人に届くような音楽を生み出すアーティストが育っていって欲しいです。本日は貴重なお話ありがとうございました!
ありがとうございました!
今回は音楽プロデューサーの大島こうすけさんにインタビューを行いました。
大島さんは今後、スクールのコース内容の見直しや、超初心者でも気軽に参加いただけるワークショップ的な内容も検討している状況とのこと。
始めたばかりなので特価になっているレッスン価格も期間限定だそうなので、気になる方はお早めに訪問してみることをオススメします!
これからの動きにも目が離せない、大島さんのMOSHページはこちらからご確認いただけます。
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