情熱を持ち輝き続けて見える人にも、人知れず悩んだり迷ったりした時間がある。
2010年のR1グランプリ優勝を経て、映画監督、温泉経営と、多彩な活動を展開するあべこうじ氏。
大人気の「料理合コン」主催者を経て、現在は起業コンサルタントとして活躍する岡村美香氏。
異なる道を歩んできた2人が、はじめて対面。情熱の原点と心の火を燃やし続けるための秘訣を語り合った。2つの炎が交わると、どんな化学反応が起きるのか──。
「好き」は仕事にできないと思っていた
あべ:芸人やってます、あべこうじです。

吉本興業所属のピン芸人として、漫談を中心に活動。2010年、6度目の挑戦でR-1グランプリを制覇し”一人話芸日本一”の座を獲得。 「口先ペラペラ漫談」のキャッチコピーで、独特のトーク術と「H-A-P-P-Yライフを送ってちょうだい!」の決め台詞で人気を博す。 俳優としては映画『机のなかみ』主演、NHK連続テレビ小説『あまちゃん』などに出演。2013年から⻘森朝日放送の情報番組『夢はここから生放送 ハッピィ』のMCを担当。 2014年に元モーニング娘。の高橋愛と結婚。2023年には映画監督デビューと⻘森県弘前市の温泉施設「ハッピィー百沢温泉」の経営に乗り出すなど、多方面で活躍中。
岡村:自宅教室の先生のためのコンサルタントをしています、岡村美香と申します。

集客×売上UPコンサルタント / 株式会社こぶたカンパニー代表
日本一面白く集客を教える人」として知られる起業コンサルタント。 元々は自宅で料理合コン教室を主宰し、13年間にわたり毎月150〜160人規模の満席教室を運営。2020年秋に「自宅教室の先生のための集客×売上UPコンサルタント」へと転身。 コンサル開始後わずか半年で月商100万円を達成し、3年目の2023年には法人化して年商6,500万円規模にまで成⻑させた実績を持つ。 そのユニークなコンサル手法は「ほろ酔いインスタライブ」など親しみやすさとエンターテイメント性を重視。これまでに指導した受講生50名以上が月商100万円超え、16名以上が年商1,000万円超えの人気教室オーナーに成⻑。
あべ:岡村さんは、そのお仕事をされるまでは、どんなことをされてたんですか?
岡村:メイド喫茶とかやってました。
あべ:えっ? メイドとしてですか?
岡村:メイド兼店長として(笑)。あと、「料理合コン」っていうのを10年くらいやってました。
あべ:今はもうされてないんですね?
岡村:そうですね。料理合コンは10年ぐらいやって、お客さんも月160人とか来ていただいてたんですけど、コンサルの方が軌道に乗ったので、料理合コンからは手を引きました。
あべ:「こっちだ!」って思ったら、そっちのオモロい方に向かっていく猪突猛進タイプですか?
岡村:そうです。私はもともとパティシエになりたくて、製菓の専門学校に行ったんですけど、挫折してしまったんです。
パティシエって、朝から晩までしゃべっちゃいけないんですよ。朝7時入りで夜は終電。腰は痛いわ、12月はほぼ休みなし、みたいな。パティシエって全然甘くないんです。

あべ:いまやってるコンサルとは、真逆の世界ですよね。おしゃべりしちゃいけないなんて、ストレスしかないじゃないですか!
岡村:大好きだったお菓子が嫌いになるぐらい、病んでしまいましたね。
パティシエの仕事を辞めてからは、半年ぐらい、いろんなアルバイトを転々と。
あべ:僕もいろんなバイトを転々としたタイプです。
船の整備、運送業、内装業、弁当屋に洋服店……めちゃくちゃやってるけど、続いたのが「お笑い」だけ(笑)。
アルバイトしながら俳優の事務所に入ったんですけど、僕はもともとドリフターズが大好きで、お笑いに憧れてたってことを思い出して、吉本のオーディションを受けて今に至ります。
岡村:オーディションで合格して、ここまで生き残るってすごくないですか?
あべ:なんだかんだ、楽しいことをやり続けてるだけなんです。
岡村さんもパティシエ時代は苦しかったでしょうけど、今は楽しいでしょ?
岡村:あの頃は、好きなことを仕事にしたはずなのに、「好きなことって仕事にできないんだ」と思って、腐ってましたね。
でも今は好きなことを仕事にできてる。しかも「好き」を仕事にしていく方法を教えてる。これって、すごいことですよね!

人はみな面白いから、面白さを発見して使っていく
あべ:僕は子どもの頃から「一家に一台、俺がいたらみんな幸せ」って、勝手に思ってた。
いじめられた経験もあるんですけど、自分に見えている景色が狭いだけなんじゃないか、っていう感覚がありましたね。
僕が通ってた小学校って、ほとんど団地の子たちで構成されてたんだけど、中学に上がったら世界がちょっと変わって、高校に行くともっと知らない奴らが集まって。
そんな感じで、広がっていく世界を見ていくのが自分は好きだな~って思ってました。
岡村:私がパティシエに絶望した時は、狭い世界で悶々としてた。
あべさんは子どもの頃から俯瞰で見ることができていたのがすごいです。
あべ:でも言語化はできてなかったですね。「なんか違うな~」くらいで。
大人になって、「量子力学」や「原理哲学」を学んで、「あの時の俺の感情ってこういうことなんだね!」って、言語化できるようになったんですよ。
言語化するといえば、僕は「ハッピィクリエイター」っていう肩書きをつけてます。
岡村:私は「日本一面白く集客を教える人」っていう肩書きをつけてます。
あべ :「面白くする」っていうので、僕らは共通点がありそうですね。
岡村さんは、「料理合コン」から、どうやって「日本一面白く集客を教える人」に?
岡村:コロナで料理合コンができなくなってしまって。ちょうど集客を教えて欲しいと言われていたので、オンラインで指導し始めました。
あべ:そこでなぜ、面白く教えよう、と?
岡村:最初は差別化みたいなところからですね。その頃どんどん、SNSを使ったコンサルタントが出てきてましたからね。
キラキラ系のコンサルをいじり始めたのがきっかけかな。キラキラしてる人たちを斜めに見て……。
でもなんだか、気づいたら自分がどんどんそっちに寄せてきちゃった?みたいな。今じゃ、自分も髪の毛を巻いちゃってるし!(笑) 。
あべ:それもう、芸人じゃないですか!
岡村:私にとって、巻き髪の女たちが敵だったんです‼︎
あべ:面白いです(笑)。岡村さんは、ぶっちゃけて言っちゃう人の面白さ、なんですね。
岡村:ライブをやってたら、「なんか面白いですね」って言われることが増えて。
「私、面白いんだ!」みたいな感じで、少しずつ面白い方向に。
「変なことしても大丈夫!」みたいになってからは、めっちゃ楽になりました。
あべ:「面白い」について、僕はもういろいろ計算し尽くしました。
結果、ネタではなく、「その人が面白いかどうか」にかかってくることがわかりました。
たとえば古典落語。「あの噺家の古典落語は面白い」って思ったとしたら、その落語家が面白いからこそ、ネタが同じでも面白く感じるんです。
だからこそ人生経験が大切。紆余曲折、いろんなバックボーンがあったほうが面白いんじゃないですか。

岡村:人生が大事、ってことですね。
あべ:僕は去年、青森で温泉を買ったんですけどね。そこの温泉水を使ってシートマスクを製造販売し始めたんです。
シートマスクを持って一軒一軒営業してるんですよ。「これ置いてくれないですか?」って。
別にビジネスとしては考えてなくて、面白いからやってるだけなんだけど。
岡村:展開が面白い(笑)。でも、温泉を買うのに、結構お金がかかったんじゃないですか?
あべ:お金はかかりましたけどね。
青森で12年やってるテレビ番組がきっかけで、その温泉を買う流れになったんですけど。番組やYouTubeで温泉を追いかける、関わる仲間が増えてく……それが面白いじゃないですか!
岡村:1回潰れた温泉だそうですね。また潰れるかもしれない!みたいな心配はよぎらなかったんですか?
あべ:失敗したら失敗したで、「この土地は俺のものだから」という使い方を考えればいいだけの話ですね……ってもう、半分失敗してる感じがする(笑)。
まぁ、「思い通りにいかないのが人生だよね」っていうのを楽しんでます。
もちろん、思った通りにいくこともあるんですよ。でも、思い通りにいく人生なんて逆に面白くないというか。
うまくいかないことは、うまくいくためのステップでしかない。
岡村:あべさんの、なんでも面白がれる感覚ってどこからきているんでしょう?
あべ:僕は、「実はみんな面白い」という仮定の中で生きてるんです。
たとえば、「あいつは本当に面白くないし、空気も読めない」って言われるような芸人が、急に売れたりするんですけど。
売れるきっかけは、ある先輩がそいつにハマって、「あいつはオモロい」って注目し始めたこと。
岡村:ああ。その芸人さんの、ズレていたり空気が読めないところが逆に面白い、みたいな発見ですね。
あべ:そうなんです。見る人が見たら、そいつのいいところだったり、面白いところに気がつくこともできるし、引き立たせることもできる。
結局、「面白い」をどう見出して使うか、ということですね。
自分の本質を突き詰めるのが大事
岡村:あべさんは、コンビを組んでいたことはあるんですか?

あべ:もともとはコンビで吉本に入ったんです。でも、相方が辞めるって言って。俺も1人でやるわ、ってなって。
僕の場合、単一で自己を確立している他人同士が組むのが面白いと思うんです。
僕たち夫婦もそうですけど、ひとりでも面白いけど、ふたりでいたら倍ハッピィ!っていうところにいたい。
岡村さんはどうですか?
岡村:今はやっていることが大きくなってきていて、チームを組んで取り組んでます。
ちょっと葛藤したりもしたんですけど、本当に好きな人とチームを組みたい、って思ってますね。
あべ:チームですか。自分以外の他人を知れるのはいい機会ですよね。他人のことを客観的に見ているうちに、自分のことがわかってくることってありますよね。
岡村:そうそう。自分のことは意外と自分では分からないんですよね。
うちの講座は複数で受講する機会があるんですけど、他者をとおして、自分が見えてくることってありますよね。
他人へのアドバイスが、実は自分へのアドバイスだった!とか。
私、受講されたばかりの生徒さんを見ても感じるんですが、みなさん何かモヤモヤとされてる。
あべ:「私は、何をしたらいいんでしょう?」みたいな?
岡村:そう。みんなくすぶってる。
あべ:それは、自分の本質が見えていないだけなんじゃないかと思うんですけどね。
僕が温泉やるにしても、映画監督をやるにしても、「自分がオモロいかどうか」「自分がハッピィかどうか」しかない。そこが僕の本質。
だから、せっかくいただいたお仕事でも、自分がハッピィって思えない仕事は断ってるんです。

岡村:世間からの評価より、自分が大切にしているものを基準にする、ってことですよね。
人は簡単に死なない。試し続けよう
岡村:あべさんは、いろんなことに挑戦されていますけど、燃え尽きたりはしませんか?
あべ:ないですね。この先、自分の人生が広がって、幸せになるのは見えてるんだけど、ゴールはないというか、燃え尽きることもない、というか。
岡村:温泉みたいですね。
あべ:本当に。温泉が湧き出るようにご縁が尽きないです。
岡村:もしも温泉が止まったとしても、あべさんは面白いことできちゃいそうですね。
あべさんのその、達観してる感じはどうやって形成されたんでしょう?
あべ:基本的に「宇宙から見たらどってことないだろ」って感覚で生きてますね。
ちっちゃい時は死ぬのが怖かった。でも、大人になって分かったんですよ。「死なない」ってことに!
岡村:どういうこと?
あべ:たとえばですけど、お笑いのステージでスベったら死ぬ? パティシエの仕事がキツくて死ぬ?
岡村:「もう死にそう」とか、死にたい気分とかにはなってたけど。
あべ :そうなんです。「死にそうになった」だけなの。
ってことはつまり、「自分で死を選ばない限り、人は死なない」「好きなことはなんでもできる」。
自分の人生は、ロール・プレイング・ゲームみたいなもんです。人生ゲームを上から見て、自分の駒を動かして……みたいなもんだから。
岡村:そういう「自分のゲームを動かすのは自分だ!」っていう意識と行動は大切ですよね。
変に頭がいい人って、自らを動かす挑戦ができないように思います。
言葉は悪いけど、バカみたいに行動ができる人の方が、結果が出るのが早いですね。
生徒さんには「頭の良さは捨ててください」って伝えます。

あべ :僕や岡村さんのように、「好き」を見つけられた人は、すごくラッキーだと思うんですよね。
でも、いま世の中には、「好き」を見つけられない人が山ほどいる。
ただ僕は、無理やり「好き」を見つける必要もない、と思っていて。
いろんなことを試していく中で「これが好きだな」っていうのがあらわれてくると思うので、とにかくいろんなことを試してほしいですね。
岡村:そうですね! 怖いと思ったことをやってみると世界が広がりますし。
でも、なんだかみなさん、行動するより“自分探し”をしてますよね。自分探しノートを書く人も多い。
あべ:ノートね! 僕がおすすめするノートの書き方をお伝えしましょうか。
岡村:教えてください!
あべ:すべて完了系で書くこと。そして書き終えたら、一切見ないで捨てること、です。
岡村:捨てちゃうんですか⁉︎
あべ:僕の場合、芸人としてネタを書きますが、書いたネタを舞台でやった時点で具現化してるんですよ。
つまり、僕はイメージしたものを具現化できる力を持っている。これはお客さんがいる舞台上だけでなく、自分の人生においても同じだと考えてます。
だからノートに書くなら、プライベートで具現化したいことを完了形で書くんです。「年収3千万円もらった」「美味しいご飯を食べた」「健康だ」って。
そして、書いたら見ない。

岡村:潜在意識が、そこにしか向かわなくなる……ってことですね。わ~!「あべこうじノート講座」があったら受講したい!
あべさんは、ホント、ポジティブですね。
あべ:いやいや。もしかしたら、みんな真面目に考えすぎてるんじゃないかな。
「お金があるからやりたいことやれるんでしょ」みたいに言われることもあるんだけど、失敗したらしたで、お金はなくなるから。
でも、お金をキープするために生きてるわけでもないし、やりたいことをやってるからこそお金がついてきただけだと思ってるんです。
うちの妻なんかもそうですよ。やりたいことばっか。もうね、うちは大変っ‼︎
岡村:何が大変?
あべ:僕は子どもたちに絵本を作ってあげるプロジェクトをやってるんですけどね、家には本が山積みだし。
岡村:もしかして温泉水のシートマスクの在庫も?
あべ:あっ! 今日、持ってこようと思ってたのにすっかり忘れてました! 失敗した‼︎
岡村:では、また今度お会いした時のハッピィとして(笑)。

今回は、楽しくてためになる話をありがとうございました。私もあべさんのようになります!
あべ:はい、お互いこれからもハッピィでいきましょう! ありがとうございました!
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