総再生回数4,000万回超!チャンネル登録者数17万人超えと、性教育YouTuberとして大人気のシオリーヌさん。
そんなシオリーヌさんが「性教育」に着目したきっかけから、病院の枠を超えて講演やYouTubeなど、個人での活動へとつなげていったその経緯、シオリーヌさんの考える仕事観まで徹底深掘り!
「個人で活動してみたい!」「自分のやりたいことを仕事につなげて活躍したい!」そんな方はぜひ参考にしてみてくださいね。
助産師/性教育YouTuber 株式会社Rine代表取締役
総合病院産婦人科、精神科児童思春期病棟にて勤務ののち、現在は学校での性教育に関する講演や性の知識を学べるイベントの講師を務める。
性教育YouTuberとして性を学べる動画を配信中。
2022年10月性教育の普及と子育て支援に取り組む株式会社Rineを設立。
【著書】
「CHOICE 自分で選びとるための「性」の知識」(イースト・プレス)
「こどもジェンダー」(ワニブックス)ほか。
【SNS】
・Twitter >> コチラ
・YouTube >> コチラ
・MOSHページ >> コチラ
家族って、なんなんだろう。シオリーヌさんの助産師を目指した原体験
―― まずは、助産師を志すようになったきっかけをお聞かせください。
シオリーヌさん:
そもそものきっかけは、学校の先生に「産婦人科のお仕事」にまつわる本を読むように勧められたことからです。
家庭内が不仲だったことで「家族ってなんなんだろう?」とモヤモヤ考えていた思春期時代の私にとって、「産婦人科はいろんな家族が生まれる場所、家族のスタートを応援する場所なんだ」と知れたことはとても大きかったですね。
様々な家族の形に触れられることができたら、自分が漠然と抱いている「家族ってなんなんだろう?」のモヤモヤの答えが見つかるのかもしれないと考え、「産婦人科」という場に興味が出てきたんです。
それから産婦人科について調べていくうちに、「助産師」という職業があることを知り、「これになろう」と決めました。
ですが、助産師を目指し始めた当時の成績は偏差値40代という絶望的な状況で…。それまで明確な進路目標があるわけでもなかったので、学校をサボりまくっていたんです(笑)。
とはいえ、助産師の免許を取得するためには理系の学部に行かなければならないですし、さらに追い打ちをかけるようにして、親から「国公立にしか行ってはダメ」という急なお達しがありまして…。
高3の夏に、「助産師になりたいと思ってしまいました…」と、私立文系から国公立の理系への進路変更を担任の先生に申し出たんです(笑)。
すると先生は満面の笑みで「向いていると思う!」とめちゃくちゃ応援してくれて。
親には「いいね」と言ってもらえなかったので正直不安もあったんですが、一番欲しい言葉をくれた担任の先生のおかげで気持ちが楽になりましたね。
それからは「助産師になりたいと思ってしまったんだから、やるしかない」という気持ちで猛勉強。晴れて希望の学校に合格し、助産師となることができました。
助産師との出会いが産婦人科では遅い?助産師による性教育の必要性
―― 助産師として働いていくにつれ、性教育に関心を持たれていったのでしょうか?
シオリーヌさん:
そうですね。産婦人科で働き始めて3年目の頃から、「お母さんとなる女性たちの、性に関する知識や知る機会が圧倒的に足りていない」と思うようになりました。
産婦人科では、今後の家族計画を立てやすくするためにも避妊についてのお話をさせていただくんですが、既にお産を終えられたお母さんたちから「正しい避妊の知識を初めて知れました」「避妊の仕方を習ったのは初めてです」という声を多くいただいて。
学びの機会が全くないことに衝撃を受けるとともに、「性の知識を知るのが出産後では遅いのではないか?」「病棟で助産師と出会うのではなく、本来は思春期の時に教えてもらうべきことではないか?」と問題意識を持つようにもなりました。
そのようなことが何度かあり、「性教育を専門とする助産師がいてもいいのではないか?」と思い始めるようになったんです。
もともと学校の先生になりたかったということもあって、若い世代の子どもたちに何かを伝える、ということにはすごく興味がありました。
大学4年間は塾の先生として中高生に授業をしていて、彼らが「わかった!」と喜んでいる姿を見ることに喜びややりがいを感じていましたね。
そのような背景もあり、「もっと若い世代に性に関する知識を伝えたい」という気持ちが次第に大きくなっていったんです。
病院の枠を超えて。シオリーヌさんが個人の活動を増やした方法
―― 当時は性教育を主に扱う助産師さんは少なかったのではないでしょうか。
シオリーヌさん:
そうですね…。
当時はロールモデルにできる助産師の方はなかなか見つからなかったので、自分が望むような助産師としてのあり方を自分で切り拓いていくしかないなと思い、模索していました。
例えば、性教育の発信活動に長年取り組まれているNPO法人『ピルコン』代表の染矢明日香さんのご活動が自分が目指しているものに近しかったので、お話をお伺いしにいったりなどしていましたね。
染矢さん自身がどのように道を開かれたのかとてもためになりましたし、参考にさせていただいた部分は多いです。
それからピルコンさん主催のイベントで講演する機会をいただいたりなど、一緒にお仕事させていただくようになって。性教育の発信活動を始めた時にたくさんの機会をくれた、恩師のような方なんです。
―― 助産師という枠を超えて、性教育問題に携わっている方にお話を聞きにいっていたんですね。ほかにも、どのように活動の幅を広げられたのかお聞かせください。
シオリーヌさん:
神奈川県助産師会の性教育にまつわる委員会に加入し、地域で性教育の講演をされている先輩助産師さんにいろいろと教えていただいたりもしました。
その委員会経由でいただいた仕事で講師デビューを果たしたので、コミュニティに入るというのも大事なアクションだったと思います。
講演活動の様子はFacebookを通して発信していて、それを見た保健室の先生として働いている学生時代の友人から「うちの学校でも性教育の講演をしに来てよ!」と誘ってもらえた、ということもありました。
それから近隣の学校からも講演依頼をいただくようになったりと、徐々に活動の輪が広がっていきましたね。
性教育にまつわる講演をとにかくたくさん経験したいと思って、横浜市と川崎市のすべての小学校・中学校に手紙を出したこともありました(笑)。
何百校とお手紙を出して、結果3校だけお返事が来ましたね。当時は大変だったという意識はなくて、ただただ楽しくてやっていた、という感じなんです。
この子たちが安心して暮らせる社会を作りたい。思春期病棟で感じた、今に繋がる思い
―― 逆に、障壁を感じることはありましたか?
シオリーヌさん:
若い世代に性教育を伝えたいと決めたものの、今度は「若者のケアをするための現場スキルが圧倒的に不足している」というジレンマを抱えるようになりました。
「思春期保健相談士」という資格を取得したりと勉強をしてはいたんですが、「子どもたちが安心して話せる大人であるためにはどのような姿勢でいるべきか?」「どのような言葉を選んで子どもたちと接するすべきか?」といった、子どもたちへの心理的なサポートやケアの実践的なスキルは持ち合わせていなかったんです。
そこで、子どもたちが抱える生きづらさや悩み、社会との関わりの中でぶつかりがちなトラブルなどを広く学んで身近にサポートできる、「児童・思春期精神科病棟」に身を移して看護師として働くことに決めました。
そこでは10代の女の子たちが集まる女子病棟での勤務だったので、その子たちに向けての「性教育プログラム」を院内で立ち上げたりしていましたね。ここでの経験が今の活動の礎になっています。
看護師として勤めていましたが、予期せぬ妊娠や避妊の失敗など、「性に関するトラブルが起こる前に助産師から性教育を受ける場」を作りたかったんです。
助産師の資格を持っているという話をすると、「生理がこない」などのちょっとした言いづらいことを相談しにきてくれる女の子たちが増えたのが印象的でしたね。時には、中絶経験のある子とじっくり話し合う機会もありました。
助産師による性教育の必要性や重要性を改めて再認識するとともに、「この子たちが安心して暮らせる社会を作るにはどうすればいいのだろう?」と真剣に考えるきっかけになりました。
個人の活動の幅を広げ、独立へと導いてくれたSNS
―― シオリーヌさんといえばSNS上での活発な情報発信が印象的ですが、SNSからもお仕事の幅は広がっていきましたか?
シオリーヌさん:
そうですね。自分一人で始めた最初の活動といえば、Twitterでの情報発信です。
性教育を広めようと思い立った助産師3年目の頃に、顔を出さない、完全に情報発信のみのTwitterアカウントを作ったんです。
割と大きめの病院に勤めていたということもあって、今のように「シオリーヌ」としての活動とは完全に毛色が異なるものでしたね。
―― YouTubeはいつ頃始められたのでしょうか?
シオリーヌさん:
2019年の2月、2つ目の病院である思春期病棟で働いているときにYouTubeを始めました。
先述したように小規模の病棟だったので、新しい取り組みにもとても寛大に理解を示してくれて、師長さんがめちゃくちゃ暖かく応援してくれたんです。
入職して1年目にもかかわらず、前例にない性教育のプロジェクトを立ち上げられたのもそのおかげです。
もともと自分を表現することが好きだったのと臨床現場での経験もあって、動画の制作は順調でした。「みんなが欲しい動画はこういうのなんじゃないか?」と、なんとなくのニーズを感覚で掴んでいたんです。
講演会で反響のある話題や、若い子たちからたくさん受ける質問に応えるような動画を作っていったところ、気がつけば2本目の動画で何十万回も再生されていました。
―― どのようにして、個人で活動する独立の道へと進まれたのか教えてください。
シオリーヌさん:
YouTubeをはじめとする発信活動など、本当に食べていけるかわからないものに挑戦するときって生活の基盤となる収入を得ていることが挑戦のハードルを下げるためにもすごく大事なことだと思うんです。
その点、病棟ではありがたいことにすごく柔軟に働かせてもらっていて。SNSでの発信や講演などの個人での活動と、病院での仕事とのバランスを上手い具合にとらせてもらっていました。
ちょっとずつ個人の仕事を増やしつつ、病院でのお仕事をパートタイムに変更させてもらったりと徐々に比率を変えていき、個人の仕事で生活の見通しが立った時に完全に独立することに決めたんです。
病院での仕事も楽しく、辞めたいという気持ちは全くなかったのですが、「自分のやりたいこと」に向かって100%の力で突き進むためにも決意を固めましたね。
自分のやりたいことが形になっていく喜び
―― 個人で活動するようになって、仕事の充実度や幸福度の変化はありましたか?
シオリーヌさん:
仕事したくないな〜という気持ちに一切ならないのは、人生の充実度がちがいますね。
大きな組織の中で働いていると、決められた仕事を与えられた裁量の中でするということが前提になってくると思います。
ですが2つ目の病棟で働き始めたときに、初めて自分で提案したアイデアが仕事になっていくという経験をして、すごく楽しさを覚えたんです。
「もっとこういうことをやってみたい!」という楽しさを原動力にして、これまで個人の仕事を広げてきました。
やはり、自分が必要だと思ったことや、やりたいと思ったことをより実現しやすい個人での活動は、大きなやりがいを感じますね。
今は誰もが発信者。だからこそ責任と質を担保したい
―― シオリーヌさんの考える、発信者の今後のあるべき姿についてお聞かせください。
シオリーヌさん:
現在は、MOSHをはじめとしてさまざまなプラットフォームが登場し、一人でも活動を始められる土壌は整ってきています。
SNSのアカウントを作って自分の想いを発信することも、自分のお店を構えることもオンライン上でやりやすくなりましたよね。
その反面、根拠に基づかない情報や不安を煽るような発信の仕方も増えてきていて、質の担保も難しくなっているように思います。
その発信者は「自分にとってフィットする情報をくれるのか?」「自分が求めているケアを提供してくれるのか?」。
ユーザーがリテラシーをもって判断をしなくてはならないのが難しいところです。
私自身も発信する立場として「自分がやっていることは本当に正しいことなのか?」「専門職として倫理に反することをしていないか?」など、常に省みる必要があると思っています。
医療は日々アップデートが進んでいく分野でもあるので、日々勉強し続けなくてはと思いますね。
産後ケア事業を通して、助産師さんのキャリアを応援していく
―― シオリーヌさんの今後のご活動の展望について、お聞かせください。
シオリーヌさん:
今後は、助産師さんのキャリアプランや働き口の幅を広げていきたいと考えています。
現状、助産師さんのキャリアプランやキャリアパスは少数のルートしか用意されていないんです。
例えば、助産師の学校を卒業したらまずは産婦人科に就職し、生涯現役で臨床の現場にずっと携わる方、院内の出世を目指して師長となる方、大きい組織を離れて小さめの病院に移る方…。
助産の世界では「分娩100件がボーダー」と言われていて、100件の臨床を経験していると次の病院へと転職もしやすいんですが、逆に病院と合わずに分娩の経験が100件に満たないまま離職してしまった助産師さんは転職がとても難しくなるんです。
そんな、病院での王道ルートに乗れない…と悩んでいるものの、助産師の仕事自体は好きで今後も携わっていきたいと考えている助産師さんの新しい働き方を作りたいですね。
これから、産後のお母さんたちをサポートする「産後ケア」の領域で起業をする予定でいるので、お母さんたちのケアにぜひ携わりたいという助産師さんの働き方を広げられたら嬉しいです。
自分がやりたいことだけに集中したいなら、MOSH
―― 最後に、MOSHはどのような人におすすめできるかお聞かせください。
シオリーヌさん:
MOSHは「挑戦するハードルを下げてくれるツール」だなと思います。
「自分がやりたいこと」に向かって突き進んでいくと、決まって「やらなくちゃいけないこと」にも直面すると思うんです。
例えば「イベントをしたい」「サービスを提供したい」と思ったとき、「場所はどうする?」「決済の方法は?」「予約はどうすればいい?」といった感じで。
「やらなくちゃならないこと」のうち「自分じゃなくてもできること」を誰かに頼ったり、MOSHのようにサポートしてくれるツールを活用することが、挑戦のハードルを下げることにもつながるはずです。
「自分が本来やるべきことに集中できる」。それがMOSHを活用する最大のメリットだと思いますね。
――リソースが限られている個人の活動には、ツールの活用も必須といえそうですね。
本日は貴重なお話をありがとうございました!
助産師、看護師として経験を積み、講演活動やSNSでの情報発信と、楽しさを原動力に活動を広げられ、この度さらなる性教育の普及と子育て支援に取り組むべく株式会社Rineを設立されたシオリーヌさん。
パワフルに、でも着実に歩みを進められたシオリーヌさんのご活動の軌跡には、参考にできる点が多くあるのではないのでしょうか?
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